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TPiCSのサンプルABCでのデモ


以前、新規導入先でTPiCSのABCというサンプルで大まかな流れをデモしたことがあります。
今回は、その時の資料をもとに、以下再現します。
このデモのポイントは、「この説明の通りにTPiCSの担当者が動かすことができるか?」です。
当然、TPiCSが実稼動している現場では、知っていて欲しいことなのです。

さて・・・・


今回はABCのアイテムのうち、製品Aについて検討します。





最初から脱線します、上図にある「手配リード」とは何かですが・・・
実際に生産計画表に数字を入れて計算すると分かります。
下図で、購入品Zについて見ると、製品Aが7/13(13マス目)のところにあると、丁度7/10の灰色のマス(伝票発行期間)に手配数が入ります。この状況で、TPiCSは手配が間に合わないというメッセージは出しません。



しかし、7/12に移動させると(下図)、購入品Zは水色の領域に数字が入ってしまいます。



そして、ジャーナル(手配が間に合わないなどの「警告情報」)が出ます。



以上でお分かりのように、手配リードとは、最終アイテム(製品)の完成日から起算した、現在指し示しているアイテム(今回は購入品Z)の手配に必要なリードタイム(ここでは日数)を示しています。
それは、上記の場合、完成から13日(以上)では大丈夫ですが、12日(以下)では警告情報が出るということです。



さて、現在のABC工場を少しリアルにして見てみましょう。
カレンダは2008年をベースに、土日休日のカレンダを採用しています(その時にこのデモを作成したのですね)。
まず、7月計画は、この工場では、6月に得意先から送られる内示情報を取り込むとします。
日付を6月に戻して・・・今回は6/13に内示情報を得られるとしましょう。
仮に、先方の情報では、7月生産は、毎日100の均等納入の様です。
ここでは、TPiCS用のCSVテキストデータに直して「内示受注」を読み込んで見ます。
生産計画表を見ると、「出計(出荷計画)」「納期」に数字が入っています。



さて、計算してみましょう(Aの固定レベルを外します)。
早速「警告」がでました。



このタイミングでは、購入品Zが足りなくなるようです(→シナリオの設定が悪いと怒られそうですね・・・反省します)。
受注入力されていると、このアイテムが影響を及ぼす受注情報を3件(環境設定による)表示してくれます。
メッセージからも購入品Zが6/25に必要だが、6/26にしか手に入らないという情報です。
生産計画表で確認してみましょう→確かに原因がありますね。



資材の発注担当者は、いろいろ考えるでしょうが、今回は、1日の誤差ですので、仕入先も何とかしてくれたということで、話を進めましょう。TPiCSは伝票発行で手配ですので、伝票発行します。
(すこし脱線します)、今回のAの製品構成以外に計画があったとしましょう(製品Bの6/16に計画を手入力)伝票データを確認すると・・・・「あれ?」



資材課は資材課の伝票だけで良いのに、製造3課のデータがある・・・?
これでは、権限のない部署の計画を確定してしまいます、一度データをクリアして・・・
今度は、伝票発行に条件を指定します(下図)、「資材課(SZ)」で・・・・作成・・・と、



伝票データを見てみましょう。
今度は、3件です(また、先ほど警告の出た手配は、緊急度の部分が「1」になっています。)



(標準の)伝票を印刷すると、注文伝票に「特急」の文字が印刷されます。
伝票印刷の後、この手配を確定します。
そうすると、正規な注文(注残)として残ります。



先ほど警告がでたので(本来の運用の順序と逆になっていますが)、「多少在庫を持っておいた方が良いなぁ」と担当者が考えたとしましょう・・・6/26に追加で数量500入力します。



伝票を印刷して、(計画)確定処理をすると手配済みになります(・・・TPiCSを良くご存知の方はここで「?」が出ているはずです)
ただし、本日の資材課担当者の手配(仕事)は終了としましょう。

翌日(2008/6/13は金曜日)、土日の休日があるので実際は6/16)、早朝一番に生産計画を回します・・・「あれ?」



折角、手配した分は他の日の手配数が無くなって調整されてしまいます、MRPは必要量以上の手配を掛けないのです(MRPは基本的に在庫を最適化する目的ですから)。
そのために、TPiCSには「基準在庫」という機能があるのです・・・・さて、いくつにしましょう?

マニュアルには(基本編、3.基本運用・・・用語解説より)、
ちなみに、TPiCSでマニュアルが読めないと致命的です(確かに読みにくいのですが)。

16)基準在庫:確定後の変化に対応するための「バッファになる在庫数」です。
「基準在庫」と前述の「固定期間」はTPiCS-Xの中で最も重要な概念(機能)です。
TPiCS-Xを初めてお使いいただくとき、この基準在庫の設定はなかなか難しく、イメージが湧きにくいと思います。 そこで、このナビゲータを使う間は、とりあえず次のように考え試してみて下さい。
例えば、「生産計画数」が1,000/日で、「伝票発行期間(固定期間)」が5日、「計画の変動幅」が10%、つまり発注した時点から実際に生産するまでの5日間に10%増減する可能性があるアイテムの場合、1,000×10%×5日=500、すなわち発注後に最大500増産する可能性がある と考えることが出来ます。
計画の変動には、プラスの時があればマイナスの時もあるので、この値の半分250ほどを「基準在庫」としてインプットしてみて下さい。
飛び飛びに使用される部品の場合は、月間の使用数をベースに考えることもできます。
例えば、1,000/月で、「伝票発行期間」が2ヶ月(60日)、「計画の変動幅」が20%であるなら、1,000×2×20%=400ですから、1/2して200をインプットします。
実際には「基準在庫」は戦略的な意味合いの強い設定値ですから、運用しながらいろいろ調整し最適値を求めていただく必要があります。後述する、[アイテムマスター]-[ポップアップメニュー]- [基準在庫改善]などで調整して下さい。すくなくともTPiCS-Xの機能を勉強している間は、「基準在庫」には意識して大きめな値を設定してみて下さい。TPiCS-Xの「基準在庫」の本来の意味や機能をご理解いただきやすくなるはずです。

月間使用量は・・・?どこかにないでしょうか?生産計画表を見ると、当月と来月の合計があります。「生計」行を見ると手配数になります。引落量を見たい時は「引計」行へ持っていくといくと、来月の引落予定数がわかります。
それが2000、伝票発行期間は約半月(1/2)で内示の誤差は20%、それの半分は(2000×1/2×20%×1/2)=100・・・という様に算出していきます。



それぞれ、Zだけでなく、X、Y、Z全てに同様に設定しました。
後は、本日も伝票発行して、印刷、確定処理というルーチンワークとなります。

さて、後は、実際の納入が始まる6/25まではこの手配の繰り返しでになります。
ちなみに、進捗管理には「予定リスト」というのを利用します。
注番の部分が信号の様に、青(予定に対して早い)→灰色(ちょうど今)→赤(遅れ)というように、予定(計画)に対する状況を把握できます。

この画面(下図)は6/23のもので、全ての計画が青色(まだ大丈夫)です(TPiCSではお馴染みの日付変更機能を利用しています)。



次に、6/24に日付変更します。
ついに外注工程(A1)の発注手配が掛かります(下図「生産計画表」)。



でも良く見ると、7/1(7月分)の納入計画からして、随分前に手配が掛かり始めます。例えば、この発注先の、納入指示(確定注文)が3日前だとすると、もし、確定発注の前倒しがあると、すぐに警告情報が出てしまいますね。(→基準在庫の設定が必要でしょうか?)

さて、6/25になりました。
「予定リスト」を見てみましょう。



6/23の画面と違って、ついに「灰色」の「注番」が現れました(上図の赤線部分)、予定通りならば本日納品があるはずです。
納品されたということで、実績を登録しましょう。

画面(下図)は作業信号機オプションです。
実際使用してみると、このオプションは大変便利です、まずは、「着手可」のところを見ると、○や×、そしてここにはありませんが△の各マークが出ます、○はすぐに実績が入力できますが、×は子部品などの不足で実績が入力できないことを示します。



ちなみに、実際の利用法では、この画面は各設置場所での専用端末化します。
この実績を入力する部署では、資材課で手配したものだけを受け入れるのならば、設定画面で部門を入力しておきます(下図)。



そして、上部にある「部門」ボタンを押して、SZの担当のものだけを表示します(下図)。



さらに、画面の編集機能を利用して、いらない表示を非表示にしたり編集をします(下図)。



入力は、大きく、3つの方法があります。
@注文時に納品書を添付する、その納品書にはバーコードを印刷しておき、そのバーコード(注番)を元に入力。
A同じような方法だが、注番ではなく、品番(アイテムコード)を元に入力。
B下の画面(グリッドという)から、選んで実績を入力する。
(私的には、バーコードリーダは安価ですし、欲しいところですね)

本日の分(灰色の注番)を実績入力します。
入力したら、「在庫一覧」で在庫データを確認してみましょう(下図、数量が増えている)。



このABCデータは、TPiCS研究所が良く使うデモ用のデータを流用しています。
ここで、「在庫一覧」をはじめて見ましたが、保管場所が複数設定されていることに気づいたと思います。
このように、複数保管場所の設定も可能です(しっかりと検証しないと運用しづらい面もありますが)。

ちなみに、実際の運用では、実績入力と手配を同様に続けていきます。
ぼつぼつ、確定注文が入ってきます。
TPiCSでは、「内示受注」と「確定受注」という区分をすることができますが、「内示受注」扱いでは、(基本的に)出荷対象になりません。
確定受注で、内示受注を消しこんでいくことが必要です。

方法としては、

@内示受注をマニュアル操作で削除してして、確定受注を入力する。
A内示→確定が可能な「内示消しこみ」ステータスで受注を登録する。
B所要量計算をする時に、本日から一定の期間にある内示受注を自動的に消す機能を利用する。
C(内示の)受注注番を指定して、消し込む。
等の方法があります。

今回の想定事例では、7/1の確定注文のデータが入るのは、3日前の6/26日になります。 ここでは、上記のAとBのやり方をを試してみましょう。

まず、Aです。



新しい受注注番を取って、納期7/1で数量100(内示通り)の注文が来ました、内示の消しこみを行いたいので、「ステータス」を内示消し込みの’2’に指定します。
実行すると、RR0001という7/1納期の内示受注が消えています(この部分は余り説明が良くありませんね、実際に消しこみをやってみてください)。



今度は、得意先マスターの内示削除先行日数を設定します。
これは、本字から何日先(ちなみに何日後(・・・過去)も指定できる)の内示受注を削除するかをしてします。
ここでは、’3(日先)’を入力します。



再び、受注入力画面に戻って、確定分の受注を入力します。
この状態では、内示受注と確定受注が重なっているので、手配が多くなるはずです。
受注入力後の「生産計画表」では、そうなっています(下図)



所要量計算をすると、該当する範囲の内示受注を消し込んでくれます(下図・・・「出計」「納期」の部分に注目)。



さて、以上はTPiCSのある機能についてのご紹介でしたが、問題は、この確定受注が変化した場合です。
実は、7/1の確定数は’120’だったとしましょう(当初、内示注文数100が120へ増えた)。
受注数を変更した後に、MRP計算します。



警告情報(下図・・・ジャーナル)もでます。Aはこの変化に対応できますが(設備の能力はここでは考えていません)、A1、A2がしわ寄せを受け、更に外注加工A1のためのTまで影響があることを示します。



この場合のTPiCSの解決策は、やはり「基準在庫」なのです。
このデモを見ていて、勘の良い方は、材料に基準在庫を設定した時に、実際の工程について設定しなかったことに疑問をもたれたと思います。
では、今回は、致し方ないので、特急伝票で、不足の20個を手配し、あとは、A1,A2に基準在庫を(適当な数量ですが)’30’設定します。
特急の発注をして、確定します。その後、A1,A2に基準在庫を設定して、所要量計算してみます(下図)。



今回は、特に警告情報は出ませんでした。
A1の7/2、A2の7/1の数量(100→130)が増えて、基準在庫が設定された事が分かります(ただし、すぐに基準在庫が補充されるわけではないので、ここ数日間は受注変動が起きると、警告情報が出ます)。
デモということなので、操作的には、後追いで設定していきましたが、本来は、基準在庫を、予め設定しておくことで、このような手配変更を最小限に抑えることができるのです。
さて、この基準在庫の数字についてですが、先日のTPiCS研究所の方のデモを聞いていたら、本当に活用しているところは、1週間に一度見直すということでした。 この機能は、アイテムマスターにある「基準在庫改善」を利用します(下図)。



この「基準在庫改善」には、各種の設定がありますが、例えば、ある期間内に、特急回数が何回発生したかを集計し、その対象のアイテムの基準在庫を増やす様なことが出来ます。

また、同じ「アイテムマスター」の「在庫最小値」を見ると、MRP計算した時に、どの程度不足したかを見る事が出来ます。



このようなデータを見て、更に、先行きの受注状況などを予想しながら、計画策定者はTPiCSを運用していきます。
マニュアルにも、TPiCSの運用は「計器飛行」という言葉がありますが、その雰囲気は多少理解いただけたのではないでしょうか?

さて、最後に出荷予定を見てみましょう。
いまのところ、確定注文はこの一件だけです。

「出荷リスト」を見て確認します。
先ほどの「予定リスト」と同様に、TPiCSでは、極力帳票類を見ないで分かるように作られています。



上記「出荷リスト」の、出荷日を見ると7/1ですので、今回は、そのまま実績を入力していき、7/1での出荷処理をしましょう。
7/1になると、出荷予定リストの表示が青から灰色に変わります(下図)。



昨日、製品Aが予定通り生産されたので在庫はあります。
出荷指示書を印刷して、出荷処理完了後、出荷実績を入力します。



一連の流れは以上です。



さて、
本ページを作成するにあたって、見直してみると、最後の方(出荷)は少し急いでいますね。
そして、今回の内容のポイントは、以下のことだと思います。
マスターは、既にあるデモ用のものを利用しています。
ということは、ここでは、マスター作成作業から取り掛かるという手間(工数)はありません。
その代わりに、このマスターで「運用」をするとどうなるのかを、自分なりにシミュレーションするということがポイントになります。
この一連の内容の趣旨は、
当初はどうしても「マスター」を作成するのが主眼になるのですが、本当は「運用」をどうするのかが大事だということをお伝えしたかったのです。(2009/02/02)