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TPiCSを導入するポイント?5


TPiCSは当社のようなシステムインテグレーターを利用して導入される場合と、お客様が独自で導入される場合があります。(折衷の場合もあります)ここでは、TPiCSをなるベく独自に早く導入するには事前にどういう準備が必要か解説していきます。
(多少脱線する場合がありますのでご容赦ください。またバージョンは3.1をベースにしています)

受注を考える


当初は在庫場所と引落しの関係を説明し、その後、前回まで(3、4)で奇しくも、TPiCSのリードタイム設定(伝票発行期間)と基準在庫に関する説明をしました。さて、このような内容(と各種研修会、自習教材の知識もあわせて)を踏まえて、受注に関して考えていきたいと思います。ここがすんなり行けば(いかないのが普通ですが)あとは実績の収集をどうするかという問題になります。(また、脱線しますが)



TPiCSについて言えば生産計画の要(かなめ)は「f-MRP」です。
この部分に様々な情報(マスター系情報、受注、注残、在庫、実績・・・・)を勘案して「ある解答(f-MRPというロジックで作成された計画)」を出します。これはその時点では正しいはずです(少なくとも最善の計画)、これを「指図書」や「注文書」として実際に製造部門やサプライヤーに指示(お願い)が出ます。
これに対してそれぞれ実績が収集されますが、例えば、

@計画通り完納
A計画と差異が出る。(不良が出て全数作れない。指定日までに出来ない。など)

などがあります。
また、差異にも

@事前にわかる(部品の到着納期が遅れるなど)
A事後にわかる(ラインに投入したら10%の不良が出たなど)

があります。
これらをフィードバック(現実の状況をフィードバック)して、再計画するという、マネジメントサイクル(PDC、PDCAサイクル)を行なっているわけです。
またこの差異の部分を埋めるのが「バッファ=在庫」ということになります。
(在庫計画については前出「基準在庫」)



※TPiCSには「計画管理」という考え方があります。上記の差異のうち事前にわかる差異を取り込もうという考え方です。
※システム側の都合としては、確定したものは変更しない方が良いわけです。「確定」という言葉の意味は

@サプライヤーとの契約関係での納期保証期間など、現実の取引(契約)で決められた「確定」期間(これは本来変更は不可)
A生産管理システムがそのプログラムロジック上「確定」したい期間・・・>例えば最近は少なくなりましたがタイムフェンスが一定(例えば1週間単位で確定するような事)

このうちTPiCSではAを極力排するように考えられています。この思想を良く表しているのが「戦略型納期調整オプション」です、この詳細は別項紹介していますのでそちらをご覧頂くとして、TPiCSが確定計画として手配した後に、更に状況に合わせてデータを変更する事を考えているかが典型的に現れています。ある部品が指定(計画)納期日に到着しないとすると、それがどこに影響が出るのかを早く把握しなければなりません。各種の交渉は行なわれると思いますが、最終的に対応不可ならば、現在の注残データを変更せざるを得ないのです。そして変更後に再計算(この場合はシミュレーションの意味合いが強い)し、どこに影響が出るかを一早く捕らえて、現実的な対策をする事が大切な事です。



さて、受注です。(生産完了して倉庫に入庫処理すればそれで終了という所もあるでしょう。また直接客先の注文を受けないところなどもあります。そういうところでは余り神経質になる必要がないのでしょうが)
TPiCSの確定受注の定義は
※「あるアイテム(品目)の納入日(時)、数量の決まったものを確定受注とする」
でした。これを元に受注の動きを見ていきましょう。受注が入るとどうなるかも有る程度明確です。



※上図で行くと、1/12Aに受注100が入りました。所要量計算すると、A自体の在庫が無いので納入リードタイムを引いた1/11に100個の製造オーダーがでます。・・・・以下A1、Xと展開していきます。
※また、もう一つの考え方として、既に1/11見込生産計画があり、そこに1/12出荷予定の受注が入ったという考え方です。
(TPiCSをご存知の方ならば上図ではこの考え方はできない事を指摘できるはずです。下図なら良いでしょう?)



さて、ここでは単に「受注」がという表現をしました。しかし、その前では「確定受注」はということにこだわりました。何が違うのでしょう?
TPiCSの受注販売オプションを使用するときの動きを考えると、

@確定受注と内示(未確定)受注の2種類を受付ける。(内示受注は確定受注に振替える事ができる)
A受注販売オプションを使用した場合、受注を「固定レベル」”1”(独立需要)と見なし、生計行のアイテムは「固定レベル」”2”以下で使用する。(製造計画レベルは全て「従属需要」と考える)

という事になります。
まず、「受注」と「確定受注」の表現の違いですが、TPiCSは受注で2通り(確定、未確定)の方法があるということで区別しました。この場合の「受注」は「確定」、「未確定」どちらでも良い事を表します。問題は、「未確定」が「確定」になる時です。
さて、最初から「内示」(未確定)の話をしましたが、TPiCSの内示ステータスは必ずしも内示注文のあるところへの対応ではありません。いわゆる「見込生産」の生産計画を内示受注として登録する事も可能です。
この事は重要な意味を持っています。
TPiCSのマニュアルを見ているといわゆるMPS(基本生産計画)の考え方が受注生産と見込生産が混在した場合に解決策が明確で無いように思います。
ですので、この点を少し考えてみましょう。
  • TPiCSでは、固定レベルという考え方で「独立需要」と「従属需要」を切り替えて所要量計算する事ができる。
  • ただし、同一アイテムでは固定レベルは1つしか設定できない。
  • 見込生産と受注生産が混在になる場合、例えば、中間生産品(ユニットなど)に関して考えると、基本的には親アイテムに従属して生産計画が立てられる事になるため「従属需要」となるが、サービスパーツとしてそのアイテムが独自に受注を受けると(独立需要)になる。
  • これを混在させる事は案外難しい事になる。何故なら、「従属需要」になった場合に(基本的に)親計画や受注がないと生産計画をクリアすることになるからだ、すなわち、最終製品をMPS(基本生産計画)として、翌月の分をTPiCSの「生産計画表」上に入力する。当然この場合の当該アイテムは「独立需要」(固定レベルを合わせる)で手配する。しかし、受注が入ってきた場合は、このアイテムは「従属需要」にしなければならない。そうすると生産計画がクリアされてしまう。(上記の2つの図に関連する)
この解決法はTPiCSのQ&Aにあります。
X1877Mの内容は以下のとおりです。
<ご質問>
弊社では最終製品の受注以外に、パーツとして中間部材の受注も受け付けて出荷しています。
この中間部材について、「最終製品の生産計画から計算される必要数」と「パーツ受注の数量」を合算して手配を行いたいのですが、どのようにしたら良いでしょうか?

<回答>
以下のようにいくつかの方法が考えられます。貴社の条件に合う方法を選択してご利用ください。

@[受注販売管理オプション]を併用する方法
[受注インプット]フォームから受注登録をすると、それが中間部材であったとしても[生産計画表]の「出計行」に受注数が書き込まれます。所要量計算では、親の計画に対する必要数(「引計行」)と「出計行」を合算して「必要数」としますので、中間部材の受注をインプットするだけで、「合算した手配」を実現することができます。

A「その他計画」をインプットする方法
[生産計画表]に「他計行」を追加し、中間品の受注数に相当する数量を「マイナス値」で「他計行」にインプットします。所要量計算では、「引計行」・「出計行」の合計から「他計行」をマイナスして「必要数」を計算しています。もちろん、「必要数」に対して「在庫引当」や「ロットまとめ」などをした結果が「手配数(生計行)」になります。
この場合、「遅れ進み」を正しく反映して計算できないので、「他計行」は常に「遅れ進み」を反映した値にメンテナンスすることが必要です。

B「出荷アイテム」を新設する方法
[アイテムマスター]に「出荷アイテム」を新規登録し、「固定レベル」を“1”にします。また、[製品構成表]で「出荷アイテム」が中間部材の親になるように登録します。そして、[生産計画表]で中間部材の受注数に相当する数量を「出荷アイテム」の「生計行」に登録します。

C出荷実績だけをインプットする方法
中間部材の「パーツ受注」が少量であれば、「中間部材の基準在庫を少し多めに登録しておいて、計画は作らずに計画外出荷実績をインプットするだけ」という方法も考えられます。

この中でMPSで使えそうなのは@とAです。
まずAを検討しましょう。この場合その他行は少し使いにくそうですので今回は複数ロケーションの例えば”1”を使用するのはどうでしょうか?v



複数ロケーション”1"の場合主担当は、その時の固定レベルに合わせて「独立」「従属」が変化しますがその他のアイテム(上で行くと製造担当「MPS」の行)は常に計画固定となります。そのために上図では1/12の出荷計画に対して、1/11に総量100の生産オーダーが入ります。その時に既計画としての製造担当MPSの計画50を割り当て、その不足分を新規計画として製造担当S1に積み増します。(「この場合は1/12の60個前倒しするのが筋?」・・・今回は機能説明ですので悪しからず)
この場合は例えばこれらの計画の見直しをする場合はマニュアル(手作業)になるのでアイテム数が多いと大変かもしれません(変更頻度や運用設計にもよると思いますが)。
次に@を検討しましょう。この場合はMPSの内容を漠然とTPiCSの生産計画表に対応させるのではなく、ターゲット客先を決めてその得意先の内示受注として登録する方法です。そうする事で実際の該当得意先からのオーダーは常に「内示消しこみ」で登録する事でカバーしようと言うものです。MPSという項目はTPiCSにないので、これを内示受注入力という方式に変えるわけです。もしかするとこの方法に違和感があるかもしれませんが、アイテム数が多い場合など管理がし易そうです。また、内示受注が実質1社も無い事業者ではこのような機能を使えます。

内示の受注データを確定データで消しこむとき、アイテムコードだけをキーにする
この設定をオンにした場合、内示の受注データを確定データに引当てるとき、得意先および納入先を無視してアイテムコードだけをキーにして引当てます。



やっとこの一連の流れの本題が出てきました。確定受注の考え方です。



出荷指示(納入指示)が到着してからでも製造が間にあうのであれば問題は少ないはずです。見込生産分が入るのは何らかの要因でこの方法が使えないからです。すなわち、調達リードタイムが確定注文から納期の時間よりも長い、または、生産ロットが折り合わない(コスト高となる)、生産が集中した場合に生産できない(製造能力を超える)などです。
TPiCSというシステムで概観してきましたがそれぞれのシステムとして対応できるところ、運用などで対応するところ、生産技術(設備など)で対応するところなどと切り分けて考える必要がありそうです。MRPのバケットの考え方の限界とスケジューラなどの計画変更の問題等、検討しなければならない問題も多々あることと思います。またAPSにすれば良いのかというとMRPよりも更にシビアな実績フィードバックを要求されるように思います。これを考慮すると、「人間系で対応できるスピード」と「システムや機械が要求するスピード」なども今後問題になりそうです。
(とりあえず今回でTPiCS編は終了です。この中ではTPiCSというMRPシステムを概観しましたそうすると、MRPの問題点を指摘したい方もいらっしゃるでしょう。そのために、「TPiCSとスケジューラとの連携を考える」を別項で続けたいと思います。)