生産管理システムの導入から運用まで幅広くサポートします
株式会社アルカス
資料請求

TPiCSを導入するポイント?


TPiCSは当社のようなシステムインテグレーターを利用して導入される場合と、お客様が独自で導入される場合があります(折衷の場合もあります)。ここでは、TPiCSをなるベく独自に早く導入するには事前にどういう準備が必要か解説していきます。
(多少脱線する場合がありますのでご容赦ください)

TPiCSのポイント(はじめに)


まず、TPiCSと御社の生産形態などの整合性を見極めます。
パッケージ導入では自社の要求を100%満たすのは難しい場合が多いので、この割り切りをどこに設定するかがポイントになります。
生産管理システム「TPiCS」のロジックと製造現場の作業は必ずしも「1対1」の関係にはなりません(必ずならないと言った方が良いと思います)。そのため、管理しなくても良いもの(こと)は省いてしまった方が良い訳です。
TPiCSのようなパッケージ導入の場合は、ここでの見極めがプロジェクトの成功の鍵になるのでよく見極めてください。
ここでは、TPiCSを導入される場合につまずきそうなところを以下列挙します。(少し、TPiCSの中身に関するコアな事も記述していますので全くはじめての方はきついかもしれません)
ご質問やご不明の点はメールなどでお問合せください。(現在はwebmaster兼任です)当方に時間があればお答えしたいと思います。

@生産管理システムの在庫引落しタイミングと生産現場での在庫の扱いの違い


(既に生産管理システムを導入されている方にはある意味当たり前の事ですが、新たに生産管理システムを導入される場合に間違いやすい考え方です)
TPiCSなどの生産管理システムが、ある製品を完成させて実績登録をします(完成入力、実績入力などと言います)。TPiCSでは、その実績入力が行なわれたその時に、引落しデータを元に使用した子部品の在庫を差引きます。

⇒これは実際の製造現場と違う動きをします。つまり、現場では必要な部品を取りまとめて生産場所に移動します(払出しや配膳などと言います)、現場では、この時点で既に自部門で使用するもの、すなわち現在庫から除外されているものと考えがちですが、システムとしてはこの時点では在庫は引落しされていません。



⇒そのため、システムの指図に従って運用ができるのであれば問題が少ない(TPiCS自体が全体の引落し量も含めて手配や所要量計算をしているから)のですが、TPiCSの機能を部分的に使用し、実際の製造指図は現場側で行なう(現在庫ベースで運用する)と「システム上は在庫があるはずなのに実際は無い」という事が行なわれます。この要因として、
@充分な在庫を持てない(当然在庫削減というのが基本方針ですので)
AMRP手配
BTPiCSからの指図書は1週間まとめて製造現場に発行し、実際の生産順序は現場で決める。
のような運用をした場合に、現場が部品(材料)を先取りするとこのような事が起こる可能性があります。

【まとめ】
※まず、生産管理システムが始めて導入の方は、システムの在庫が引落とされるタイミング(実績入力時)と現場が在庫を確保したと認識するタイミング(配膳時)とが基本的にずれているという事を覚えてください。

※この差異に関してはシステムの計画に従って製造できる分には問題が少ないのですが、現場主体で手配すると問題が出る場合があります。

※生産管理システムを導入すると言う事は、ある意味「システム(TPiCS)が計算した計画を基準に製造を行なう」と言う事です。

※この引落しタイミングはTPiCS固有の問題ではなく基本的にどの生産管理システムも持っている一般的な事です。⇒この点を上手く管理しているシステムもあるかも知れません。その場合は今度は製造現場が確保した材料が余った場合の倉庫への戻し入れの問題などが出てきます。

※TPiCSではこの点を解消するために「作業信号機オプション」を用意しています。ただし、これも万能ではありません。その動き方を熟知して使用しなければいけません。


Aモノの移動を把握してください。


TPiCSには基本テキストがたくさんあります。これらは、TPiCSの研修会(4日間)に行く前に最低一度は実習する必要があります。これには、「はじめましてTPiCS-X」や「TPiCS-X基礎講座(1巻〜4巻)があります。これらの内容は非常に重要でMRP計算を中心とするTPiCSの考え方を理解するにはお勧めです。しかしながら、この内容だけで研修会に行くと思わぬ苦労をします。やはり思ったようにマスターが組めないのです。
その要因の一つで、私自身が生産管理システムの知識ゼロからTPiCSに取組みはじめて始めてなかなか理解できなかった事がこれです。

その前(おさらいですが)に、TPiCSのアイテム(マスター)と言われるものは、BOM(部品表)と同じではありません。これは、作業を含む生産要素を表します。研修会マニュアルには次のようなスライドがあります。



「支給」の様なモノの移動も定義できる事にご注意ください。
さて、アイテムが定義できれば、次に製品構成表でアイテム間の関係を定義します(上図では例えば塗装作業「X」と支給「T」の間の「-」で示したつながりのことです)。この構成に関しては異存がないでしょう?また、他のマスター設定が正しければ、MRPもキチント動くはずです。計画数も正常だし問題は無いはずです。

(さてここからが本題です)しかしながら、この構成の裏側で動く(自動)引落しの事を考えると問題が見えてきます。興味のある方は次の表を追ってみてください。(TPiCSのアイテムと在庫場所の関係)
TPiCSでは複数ロケーションの機能を使用しなければ、あるアイテム(工程)が完成(実績入力)した時の保管場所は自由に選べます(逆に複数ロケーション機能を使用すると制約を受けるわけです)。結論として、一番簡単なアイテムマスター設定は、あるアイテムの実績入力時の保管場所を、次工程(アイテム)の引落場所に設定すれば良い訳です。

さて、そうするとこれから導入される方は疑問を持たれるでしょう。「いや当工場では完成品は完成倉庫に入るはず・・・・・?TPiCSでは、どうするの?」
例えば倉庫が1箇所しかなければ、TPiCSはその保管場所のみから引き落としますので問題は無いのですが、例えば上記の場合、完成倉庫は1箇所ならば問題は少ないわけです。(前工程の完成品は「完成倉庫」にのみ入庫されれば良い。当該工程は保管場所が1箇所しかないので上記倉庫からのみ引落しされる。)
TPiCSを検討している、または既にお持ちの方で上記の様に基本的な保管場所が1箇所という場合は以下の項目に頭を悩ます事はありません。
⇒この状況には2つあります。

@物理的に1箇所しかない
A細かい設定をする事でマスター管理や運用管理が煩雑になるのでTPiCSでの在庫場所の定義は簡単にする。(初めて導入の方などは賢明な措置だと思います)

(さて続けましょう)
問題は2点あります。

@保管場所が複数の場合
A保管場所が移動する。(例えば完成品をある保管場所に入庫するが、実は次工程は別工場なのでこの間別工場の指定保管場所に移動するなど)

@の場合は(自動引き落としの場合)は引落し場所の(マスター)設定の可否、Aの場合は@と同様の引落場所の設定と、この在庫移動の部分を製品構成で定義するかどうか?という問題があります。
まず、結論ですが、TPiCSでは現在のお客様の在庫移動(モノの移動)を完全には定義できない場合があるという事です。
また、付随する検討事項として、
BMRP計算時に在庫引当する時の保管場所(複数ロケーション機能を使用する場合に影響有り)も考慮に入れる場合があります。(下図)



何故ここで「引落元」にこだわるのかを書くと、実績入力する場合にTPiCSの引落明細に記載された保管場所をまず第一に引落し対象にします。もし、該当する保管場所に在庫数が無い場合で保管場所が複数ある場合には引落元フォームが開きどの保管場所から引落すかを指定しなければなりません。ここで、TPiCSの実績入力を使用して入力作業をする事が可能であれば操作指導の問題である程度回避できます。しかし、引落部品数が多い場合(数百アイテムの引落場所をいちいち指定するのでは入力者が嫌がります)や、ハンディターミナルなど別の端末を使用して引落すとなると問題が出そうです。(これを嫌っています。)

TPiCSの引落し場所はほぼ以下の通りです。
@(前工程の納入場所からそのまま引落す場合)払出対象外(払出区分“0”、“1”)で複数ロケーション“4”、“5”で無いアイテムの場合
払出区分“0”、“1”を設定したアイテム(子部品)の場合、親アイテムの伝票発行処理で、アイテムマスターの保管担当が引落明細データの「引落元」にセットされます。そして、親の完成実績をインプットすると、子部品は引落明細データの「引落元」から引落しされます。
A(前工程の納入場所から別の引落場所に移動する場合)
払出対象(払出区分“2”、“3”)の場合、引落元は当該アイテムの製造担当
B子部品が複数ロケーション“4”、“5”の場合
引落元は当該アイテムの製造担当
研修会の資料を見るとこのようなものがあります。(複数ロケーション10章)



さて、これらの細かい仕様についてはそれぞれ勉強していただくと言う事にしましょう。余りこの手の話をしてもこれからの人にとっては面白くない話になりそうですので、「引落」も大事だという事を認識していただければ良いと思います。(いずれ機会があれば再度)

※事例で説明しましょう
このような場合に上手くマスターが組めませんでした。

【この組み方はできません例】


現実の製造現場では上記の場合ように部品倉庫(保管場所)があり、その先複数ラインに関しては現実にラインサイドまで払出(配膳)などを行なっているにしても、現実に管理をしていないような場合があるようです。
上記の構成は「工程A」をライン毎まで細かく管理する事にすれば解消します(下図)。
⇒と一言でいってもなかなか理解をいただけないかもしれませんが

【この組み方はできます例1】
工程Aの共通保管場所をやめてラインサイド(ライン1、ライン2に該当する製造担当レベル)に直結させる。


【この組み方はできます例2】
工程Aの共通保管場所を子部品Xから見てユニークにしたいので、「払出H」というアイテムを追加して(これは複数ロケーションアイテムではない)その後に工程Aを構成する。


※【この組み方はできます例1】については、冒頭に少し話題になった、「着手」と「実績入力」の関係を「作業信号機オプション」を使用して解消するという事に関連つけて説明していきます。
(続きへ)