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TPiCSを導入するポイント?4


TPiCSは当社のようなシステムインテグレーターを利用して導入される場合と、お客様が独自で導入される場合があります。(折衷の場合もあります)ここでは、TPiCSをなるベく独自に早く導入するには事前にどういう準備が必要か解説していきます。
(多少脱線する場合がありますのでご容赦ください。またバージョンは3.1をベースにしています)

MRP(生産計画)を考える(続き)


前回の続きで「基準在庫」を考えて見ましょう。「基準在庫」は「安全在庫」とは違いますよという事を書きましたが、まず「安全在庫」とは何かを考えましょう。
(いろいろなところの安全在庫の定義を以下書き記します)

@過去のある期間の使用実績から平均使用量とバラツキを計算し、統計的に欠品を起こさないだけの量を持っておく、これを安全在庫という。
A安全在庫数量は、「最低在庫数量」と言い換えることができる。商品の入庫があり出庫がある。それにともなって在庫量が増減する。安全在庫は在庫数の下限である。発注しても調達リードタイムがあるので、すぐには入荷しない。したがって安全在庫は、発注点在庫ではない、入荷する直前の在庫数量である。
B発注をしてから納入されるまでの期間Lを調達期間といいます。毎日の出荷量Dが一定ならば、在庫がD×Lになったら発注すればよいことになります。ところがL日間の間で出荷にバラツキがあると、品切れが発生することになります。それを防ぐために、ある程度余計に在庫を持つ必要があります。それを安全在庫といいます。

この中で、前回、「基準在庫」≠「安全在庫」と言い切りましたが、Bの定義が「基準在庫」と同じ事を示しています。(お詫び、しかしTPiCSの方がもう少しだけ細かく設定できます)
@は一般的な形式だと思いますし正しい表記だと思いますが、ある期間とは何か?という事が引っかかると思います。Aは最低在庫といっていますが、これは、TPiCSの最小在庫と同じ事を言っているようです(後段で調達リードタイムとあるので、これは受入時を基準にした定義と捕らえられますね)。ちなみに、TPiCSでは「最小在庫」と別に「基準在庫」考え方を持っています。
さて、「安全在庫」の定義は良いのですが、現実の生産システムでこの考え方を導入する事はなかなか難しいようです。

以前、当社でTPiCSのデモをご覧頂いた方で、あるERPシステムの「安全在庫」に関して疑問があるという事でした。そのシステムの詳しいロジックは当方では不明ですが、お客様の言う事を要約すると、「調達期間は品目それぞれ違うのに、それとは別に安全在庫を計算しているのが理解できない」という事だったようです。
例えば上の@の定義で計算しましょう、ある期間は「1ヶ月」とします。
※部品Xは調達期間が1ヶ月で今月は1個の欠品をしました。(計算を簡単にするために)バラツキは除いた安全在庫は1個です。
※部品Yは調達期間が半月で今月は2個の欠品をしました。(計算を簡単にするために)バラツキは除いた安全在庫は2個です。
・・・・おかしいですよね?調達期間が半月の部品Yは在庫が1個で良いはずです。
通常計算されているご担当の方々ではこのようなミスは犯さないと思います。ただし、所要量計算のロジックを考えるとなかなか難しい問題が出てきます。
(この)調達期間をどう計算値に反映するかです。
そのためには、どのような状況でこの基準在庫(≒安全在庫)を割当てるか?が問題です。
前回、TPiCSは各アイテムごと個別に「伝票発行期間」(調達リードタイム)を持つという説明をしました。(再掲します)



(再び書きますが)手配しなくて良い部品・材料・工程を手配しない事は、将来の計画変更に対応するための一つの対策になります。それと同時に、TPiCSの「基準在庫」はこの「固定期間」(調達リードタイム)に対する受注のバラツキを吸収する在庫を定義します。上記の例では、部品Xは伝票発行期間30日で基準在庫は1個ですし、部品Yは伝票発行期間15日で基準在庫は1個と定義できます。

さて、TPiCSでの「基準在庫」の充当のロジックは明らかです。
所要量計算時に、「固定期間」「確定期間」内に新たに調達計画が入った場合(言葉を変えると「調達リードタイム」を割り込んで手配しないといけない場合)、「基準在庫」に設定していた在庫を割り当てます。それ以外「調達リードタイム」で手配して間にあうもの、TPiCSでは「未確定l期間」は、そのままの「基準在庫」を割当てずに手配を掛けます。


「基準在庫」の動きは以上のとおりです。

ここまでならば他社でも似たような機能があるよということですが、TPiCSではこの「基準在庫」のフィードバックのために「基準在庫改善」機能を用意しています。(マニュアルには以下の様に書いてあります)

[基準在庫改善]
「大きすぎる基準在庫を小さくする」、あるいは「小さすぎる基準在庫を大きくする」処理です。
[基準在庫改善]には、過去の運用実績を利用する方法(実績の反映)と、将来の計画の増減を利用する方法(計画の反映)があります。

@実績の反映
1. 「大きすぎる基準在庫を小さくする」場合は、過去 特急発注がなく、在庫最小値が999999999999999より小さいアイテムを対象にし、(在庫最小値−最小在庫)の指定した比率分小さくします。
2. 「小さすぎる基準在庫を大きくする」場合は、指定した回数以上特急発注があったアイテムの基準在庫を、指定した比率で大きくします。
なお、これらの処理は「毎月月末」あるいは「3ヶ月ごと」等に見直すことにし、修正処理を行った後は「特急回数や、在庫最小値を初期化する」処理を行って下さい。
初期化をしておくことにより、修正の効果をはっきり把握することができます。

A計画の反映
1. 「固定済み期間と未固定期間の生産比率を基準在庫に反映する」場合は、未固定期間の1日当りの必要数(引計)が固定済み期間の1日当りの必要数から何割増えているか(減っているか)を、「差を和らげて反映する」で設定した比率で基準在庫を増減します。
2. 「指定日の前後の比率を基準在庫に反映する」場合は、指定日より後(指定日を含まない)の1日当りの必要数が指定日以前(指定日を含む)の1日当りの必要数から何割増えているか(減っているか)を、「差を和らげて反映する」で設定した比率で基準在庫を増減します。

また、「在庫最小値」も記述します。

※在庫最小値:マスター管理-その他便利機能-基準在庫改善
確定処理時に「今回在庫最小値」と比較し、「今回在庫最小値」の方が小さいときに更新されます。
[基準在庫改善]に使用されます。
※【参考】今回在庫最小値:マスター管理-その他便利機能-基準在庫改善
所要量計算時の計算在庫の最小値を記録します。
所要量計算で固定期間内に新たな計画が立つ場合、その特急の計画を立てる前の在庫です。
但し、所要量計算中にアイテムマスターを更新する頻度を減らす目的で、予め在庫最小値で初期化し、それを下回るときだけ書込むようにしています。

「基準在庫」はどのように設定するのか?についてはある程度「試行錯誤」する必要が有るでしょう。一番最初は安全在庫と同じように算定すれば良いでしょう。(期間平均使用数×バラツキ)、また、「在庫最小値」をひとつの目安として設定する方法もあるでしょう(変更後は初期化することが必要でしょう。)その後はこの機能を使用し(とにかく)こまめに数値を変えていく事がTPiCSを使いこなすポイントだということです。(二ノ宮社長談)それも、成功しているところでは、1ヶ月というような単位ではなく1週間という単位で行なうとの事です。

※アポロ11号は1969に月面着陸しましたが、その時のコンピュータは現在のPCと比べてもはるかに性能が低かったようです。でも、細かく、軌道修正することによりキチント目的を達成したわけです。生産計画はいつも最善を尽くして計画策定するのですが、少しずつ(現実との)ズレが生じてきます。これをなるべく細かく舵取りする事で現実に備えるという事が大事なことだと思います。
次回こそ「受注」に関しての動きを追いましょう。(続く)