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TPiCSを導入するポイント?3


TPiCSは当社のようなシステムインテグレーターを利用して導入される場合と、お客様が独自で導入される場合があります。(折衷の場合もあります)ここでは、TPiCSをなるベく独自に早く導入するには事前にどういう準備が必要か解説していきます。
(多少脱線する場合がありますのでご容赦ください。またバージョンは3.1をベースにしています)

MRP(生産計画)を考える


今後は、TPiCSでの計画をどう取り扱うか?に関して考えてみたいと思います。
先日、あるお客様で、(確定)「受注」とは何かということで議論になりました。そして、一言で「受注」といっても捕らえ方を間違うと生産計画自体が出来ない事にも気づきました。(お恥ずかしい話です)
また、生産計画はあるのですが、その通り作れない所も経験しました。(素材が予定のとおり入ってこないような場合です)

さて、それらも踏まえて、TPiCSの確定受注とは何でしょう?(TPiCS研究所から異議を唱えられそうですが・・・)
※「あるアイテム(品目)の納入日(時)、数量の決まったものを確定受注とする」
と定義します。「当たり前じゃん」と言う方と、「ちょっと待って下さい」と言う方と分かれそうです。(分かれますよね)上の定義は「納入指図」と言葉を改めた方が判り易い方もいるでしょう。
ちなみに、究極の問題点はこれです。
※「受注が来てから作り始めると間にあわない」
間にあうのでしたら御社内の混乱は少ないでしょう?(混乱しながらも間に合わせている・・・?システムで解決できるかどうか微妙な問題ですね)

●「f-MRPで手配する」ということ

※さて、今回の本題に入りましょう。
生産計画は入れ子状態で計画していると思います。(下図)
月計画の上には四半期計画、半期計画、年計画・・・・と計画範囲は広がりますし、逆に日計画は更に細分化されて、TPiCSではシフト、スケジューラなどでは時分秒の単位まで計画を作ります。大日程、中日程、小日程といった方が一般的かもしれません。将来の計画は大雑把だが、直前になると(妙に)細かくなる(ちなみに「今」では「待った無しになる」)。

もういちど下図を見ると、日とか週とかで一つの四角枠の中に入っています。何気なく掲載しましたが、これはMRPで言う「バケット」(バケツ・・・1杯の量)を表しています。これは、「この単位で一区切りしましょう」という事です。
ちなみにスケジューラは数直線の様な1本の連続線になり1日という時間の区切りの考え方は無い(薄い)です。

スケジューラの時間概念

また、ここで計画について見てみましょう。例えば、2工程の組立工程を考えます。(TPiCSでおなじみのA-A1-Xにしましょう)

スケジューラ型の書き方
スケジューラ型の書き方

TPiCSの書き方
TPiCSの書き方

(構成は同じようなのですが書き方が異なるのは興味深いところです。)
ここで、AとA1の2つのアイテム(工程)について見ていきます。この2つの工程間の「-」は

@きっちりと紐付いている。
A緩やかに紐付いている。

どちらでしょう?
完成したところから時間的に遡ると(または、未来の完成時点から今に向かって戻る形です)必ず、「1月13日Aという工程で製造オーダーNo.WW0100で100個完成、そしてそのために1月12日A1という工程で製造オーダーNo.WW0078で100個完成、材料Xは注番XX3456で1月9日に100個受入」という形になります。
ですので、計画はこのような、紐付けの連続になります(因果関係が有るのです)

生産計画1

矢印方向へはトレースできるわけです。
さて、これは計画とおりなのでしょうか?実はこうだったかもしれないのです。

生産計画2

1月10にはWW0062で上がっているはずの計画が何らかの理由で狂ってWW0078の追加オーダを出して対応した。このようなストーリーが出来上がります。
この様に、当初の計画が変更される事がある、またはそのようなことが多いのならばそれに対応した運用を考えねばなりません。
ちなみに、スケジューラでは、上記のように個別にAはこの製造オーダーNo、A1はこれというような付番にはなりません。「A-A1-X」を一つのジョブコードでまとめて(製番管理に近いです)「ジョブコード+工程A」、「ジョブコード+工程A1」のような手配になります。これから判るように、中間の工程が変更された場合は全ての作業を計画しなおす必要が出てきます。(こういう面では不便)

さて、ここで考えねばならないのは、TPiCSでやろうと、スケジューラでやろうと例えば○月○日完成のような完成時間が(有る程度)はっきりしているということです。(見込生産、在庫生産ですけど・・・という方もいらっしゃるかもしれませんが)

問題はこの完成品の製造オーダーと確定受注との関係です。
※確定受注が納期を明確にしているのであればこの時間に対する納期遵守率が問題になります。
※確定受注がある幅を持つ場合(1日〜15日、15日〜月末などの半期単位や月間、3ヶ月など)これらの場合、いつ納入指図が来るのかが不明のため計画が難しい事になります。指導員用の資料を見ると

内示データが日別に分解されてない場合
@ 生産計画を日別に作成しなくてもよい時期(3ヶ月先等)なら、その月の先頭日として扱う方法
A データを日別に分解する処理を施す。簡単にはMicrosoft Excel等を利用

などと書いてあります。既に「内示」と言う言葉に変わっている事に注意してください。
TPiCSでは、「3ヶ月間に品目Xを10000個の確定注文」という場合は「内示」の扱いで考えた方が良いということです。(真の確定受注は「納入指図」の時)

さて、TPiCSに戻りましょう、バケットの説明はしました。また、工程の間には紐がついている事も説明しました。また、今、手配した計画とおりにモノが作られるかどうかは、御社の体制にも寄りますが100%計画どおりというところは少ないはずです。
付け加えて、TPiCSの計画には「確定計画」と「未確定計画」と言うのがあります。

@来週の月曜日の午後5時に当社でお会いしましょう(確定計画)
A来週の月曜日の午後5時に当社でお会いする事にしたいと思うのですが、その席に試作品をお見せできるか確認して、もう一度連絡します(内示)
B再来月の月曜日の午後5時に当社でお会いしましょう(まだ時期が先なので未呈示・・・未確定計画)

Bは自分の心つもりだけですので、実施するもしないも自由です。逆に@は基本的に実現しなければなりませんし、Aはその真偽を連絡しなければなりません。

TPiCSはこの「確定計画」と「未確定計画」をバケット毎に設定しています。
「確定計画期間」は基本的に計画変更しません。
「未確定計画期間」は計画変更は自由です。
また、この「バケット単位」の確定、未確定の判定は工程の紐付きとは独立に設定されます。

計画

上の図で計画の紐つけを青の太線で表しています。各日付の下の四角形はバケット(今回は1日バケット・・・日バケット)です。
本日(1月8日)から将来に向かって計画が並びます。TPiCSはバケットごとに確定(計画変更不可)と未確定(計画確定可)が設定できます・・・・と先ほど記述しました。
計画としては1月10日のA(100台)は1月9日の工程A1(100台)の後工程になり、更に1月8日入庫の材料X(100台分)に紐付いています。ところが、上記の図では1月10日の工程Aの計画は未確定であり「計画変更可能」です。
ちなみに、とあるスケジューラは(たぶん一般的にこうだと思いますが)初工程が確定されると全て確定されます。点線はバケットですがこれとスケジューラはずれていることに気づきます。(計画割付は適当です)

計画のずれ

これらの差はどこから生まれるのでしょうか?
スケジューラや製番管理は、計画の初工程に着手されるとプロジェクトの全てが確定されます。
これに対して、TPiCSでは(マスター設定によりますが)手配リードタイム(この日までに注文や製造指図をしないと間にあわないという期間)により、「確定」「未確定」をコントロールしています。すなわち、1月8日の段階でAという工程は1月9日まで手配しなければ生産に着手できないがそれ以後はまだ手配しなくても良い(手配しても良いが、その分計画変更できない事になる)同様にA1、Xそれぞれにこのような期間(「確定期間」「伝票発行期間」などとTPiCSでは言われます。)が設定されています。
このように、TPiCSではバケットごとの確定、未確定期間の設定により、計画変更の可能性を残しつつ計画手配をする事が可能になります。
それがどのような意味を持つかですが、

※本日から数えて、何日先の発注や製造指図を確定しないといけないかは「アイテム(品目)」ごとに個別に設定できる。また、未確定の計画は何のリスクも無く変更ができる。すなわち、調達や手配のリードタイムの長いものは本日から長期間確定され、計画変更できないのに対し、社内組立工程など前日指図で間にあうのであれば、前日まで計画組換えができることになる。

※サプライヤーとの交渉で調達リードタイムを短くできれば、それはTPiCSの「伝票発行期間」を短くする事ができる。すなわち、資材担当者のリードタイム短縮交渉はTPiCSに直接反映する。

※TPiCSのマスタで設定された各種リードタイムを元に所要量計算した結果が確定期間(上記の水色の部分)に計画を追加するような場合はその場で警告(ジャーナル)がでて、

@現状では(数量がいくつ)間にあわないことを知らせる
Aいつならば調達できるかを知らせる
B(受注がある場合)どの受注に影響が出るかを知らせる

下図(ディスプレイ(ポップアップ)でも印刷でも可能です)
TPiCS画面

ここで、長納期品の対応について疑問が出ると思いますが、これについては、f-MRPのもう一つの柱「基準在庫」について考えたいと思います。製造をするに当たって全ての部品やユニットの同期を取るのは至難の技です。特に長納期品などは見込み発注と在庫計画が必要になると思います。一般的には「安全在庫」と言われるものを設定しますが、TPiCSでは「基準在庫」というものを使用します。「基準在庫」≠「安全在庫」
(基準在庫について、次回続く)


【ちょっと脱線】短納期で対応する。
比較的小規模で生産計画を中心としたシステムの入っていないところではこのような形が多いように思います。

生産計画

とりあえず在庫を各種用意しておきます。製造の手配は定量発注方式に近く、倉庫の在庫が減ってきたら充填する様に作る。受注先からは「内示」情報も来るが使用していない。確定注文が入った段階で最終検査(工程)や出荷準備をして発送する。
この方式だと、

@在庫が膨らむ傾向にある。
A出荷の段階でバタバタする。
B工場の製造は余り効率的でない。

比較的単価の安いものをたくさん作っているような場合はこの様な方式で問題が少ないように思います。永遠の課題は在庫過剰の問題でしょうか。また、見込みで生産計画を入れるのですが、特急対応の場合に、優先度の低い工程仕掛品があるとその分対応が遅れる、すなわち、工場の稼動は余り効率的でない、更に、お客様側が精度の高い内示情報を流している場合はそれが無駄になります。
ただし、管理は「直感的」ですのでわかり易そうです。生産システムの管理者がいないところ向きに生産計画系に余り重点をおかず、実績入力系に重点をおいたシステムが幾つか見受けられます。上記のような会社はTPiCSよりもそのようなタイプの生産管理の方が合っているように思います。
いくつかTPiCSで商談にお伺いした中で、MRPは回せないだろうなというお客様も多々見受けられます。(残念)